[論文発表] 血液中の末梢血単核球(PBMC)から合成RNAでiPS細胞を樹立

私たちの研究グループは、血液中の細胞である「末梢血単核球(PBMC, Peripheral Blood Mononuclear Cell)」から、これまで難しいとされてきた方法でiPS細胞をつくることに成功しました。本成果は、国際科学誌 Scientific Reports に掲載されました。

これまで、PBMCからiPS細胞をつくるにはウイルスベクターを利用する方法が中心でした。iPS細胞の作り方によって、安全性や臨床応用上の懸念がありました(様々な確認事項が発生する)。今回私たちは、ゲノムに影響を与えない「合成RNA」という次世代の方法を用い、さらにp53の機能抑制を介した細胞内のストレス応答を制御するMDM4を組み合わせることで、再現性良くPBMCからiPS細胞を作製することに成功しました。

得られたiPS細胞は、様々な細胞に分化できる能力(多能性)を持ち、角膜上皮細胞/組織への分化誘導にも成功しました。これにより、将来的には視覚再生医療をはじめとする幅広い再生医療や、患者さんごとの疾患モデル研究、創薬開発への応用が期待されます。

本研究は、複数のドナー由来の血液細胞(PBMC)を用いて再現性を確認しており、臨床応用に向けた信頼性の高い基盤技術になると考えています。

詳細はCiRAホームページをご覧ください(プロトコールも公開しています)。

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