iPS細胞:樹立や培養に関する情報(Tips)

本論文で使用したMDM4-S367Aのプラスミド(IVT用)はAddgeneに寄託手続中です。

合成RNAを使ったiPS細胞樹立プロトコールはCiRAのホームページから入手可能です。

この方法では、day0に細胞の回収・RNA導入・プレートへの播種を同時に行うことで手順の簡略化と導入効率の上昇?の効果があると考えています(下のイメージ図)。

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継代作業の時、TrypLE処理後にPBS(-)でwashし、培地(StemFit AKl3N)を加えてスクレーパーでhiPSCを回収するのが常法となっていると思いますが、6-wellの1 wellだけを処理するのであれば、ピペッティングだけで回収できます。PBS(-)でwashした後、1 mLのAK03Nをピペットマンで吸い、傾けたwellの下の方から培地を噴出させて細胞をwellから剥がしていく感じです(下の図のStartからGoalに向かって)。TrypLE処理後はwell上が白く見えるので、細胞が剥がれる様子は分かり易いと思います。
※逆にwellの上から始めるとうまくいきません(最初の方は剥がれますが、途中から剥がれにくくなります)。

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継代翌日以降の培地交換の際に培地量を通常の倍に増やすと、3日に一度の培地交換でも細胞の形態・増殖にほとんど影響がないようです(例 培地量:3 mL/well of 6-well plate))。Day6で培地の色がオレンジ〜黄色になっていたら培地交換をしています。Day1の培地交換は播種後24時間ちゃんと経過してから行ったほうが良いです。木曜日に継代を開始した場合、金曜日に培地交換をすれば、土日は何もしなくて大丈夫です。月曜日に培地交換して、その後は培地の色を見て適宜培地交換を行ってください(下の図は培地の色のイメージです)。

  • 通常はiMatrix-511をプレコートしてから使いますが、プレコートせず播種する際の培養液にY-27632とiMatrix-511を入れておくことで培養できることが再生研の末盛先生のところから報告されました。私のところでも試していますが、問題なく培養できています。170131_mn Nice paper has been published from Suemori-sensei’s lab. “Efficient Adhesion Culture of Human Pluripotent Stem Cells Using Laminin Fragments in an Uncoated Manner” (Scientific Reports, 2017, 7:41165 | DOI: 10.1038/srep41165) This method works well in my lab.(勝手に「ミックス法」と呼んでいます)
  • 単核球からのFf-iPSCの樹立に関して。Non-T細胞の培養条件では従来の7日間より5日間にしたほうが樹立効率が上がることが多かったです。141129_mn (For the establishment of Ff-iPSC, 5 days for the culture periods of PBMCs in non-T condition was better than 7 days culture.)
  • Nucleofector 4DによるElectroporationのプログラムはEO-100/EO-117のどちらも使用可能です。EO-117の方がpmaxGFPを使った導入効率の試験で成績が良かったです。140322_mn (Electroporation of the program with a Nucleofector 4D is available both of EO-100/EO-117. Performance was good in the test of transfer efficiency using pmaxGFP by EO-117.)